千葉県柏市「下田の杜里山フォーラム」の保全活動に参加しました!
お久しぶりです!
多摩エコミュージアムのカジキです。
忙しくて他の地域の保全活動に遊びに行けず、なんだか欲求不満で、身体も凝ってきた(?)今日この頃。
他地域の「自然共生サイト」の視察という建前で、千葉県柏市の「下田の杜里山フォーラム」さんの活動に参加してきました。
(こんな建前なくても、各地の活動に沢山参加したい。切実に。)
【そもそも自然共生サイトって?】
自然共生サイトとは、環境省が登録を進める地点です。
①保護地域ではないものの、貴重な生物が生息する豊かな自然環境
②または、人の手が加えられれば豊かな自然環境を取り戻す可能性のある場所
を特定し、保全していくことが目指されています。
国立公園や保護区のような、すごく豊かだけどちょっと遠出しないと辿り着けない場所ではなく、都市の人にとっても身近な自然環境が選ばれ、守られているのです。
令和3年度から登録が進められ、現在では328件もの地点が登録されています。
最近では、自然共生サイトの位置が分かりやすく表示される「マップ」が環境省から発表されたので、皆さんにとっての「身近な自然」を探しに、まずはお近くの自然共生サイトに遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
参考:生物多様性見える化マップ
(実は、私たちのフィールド「せせらぎ池」も自然共生サイトに登録したいと考え中。続報をお楽しみに!)
【下田の杜里山フォーラムさんの取組みについて】
少し脱線しました。本題に移りましょう。
今回お邪魔した下田の杜里山フォーラムさんは、常磐線南柏駅からバスで10分程度の「下田の杜」で活動しています。
市街地の中に急に現れる、まさにオアシスのような里山環境で、土地所有者の「自然環境を守りたい!」という強い想いから保全が行われてきました。
場所を守るために行政との連携も進めており、杜の一部は市有地として一般開放している他、貴重な湧水を守るために、環境省の地点にも申請しているといいます。自然共生サイトへの登録も、その一環とのことです。
フィールドはまさに「里山」で、湧水流れる沢、生き物と触れ合える池や草原があり、作物を育てる田畑があります。
特に学校教育に力を入れられ、小〜大学まで、さらには国外の学校とも連携して、里山の暮らしや、豊かな自然環境に触れる・守る営みを実践しながら伝えられていました。
(参加した日はちょうど、親子で野菜作り「ジャガイモ堀り体験」が開催され、立派なジャガイモが沢山掘り出されていました。)





【6/22の活動について】
当日は、多摩川の精鋭(?)総勢5名でお邪魔して、二手に分かれて、①池のヨシ刈りと②田んぼの畦整備 の2つの活動に参加しました。
ここからは、せっかくなので当日参加した他のメンバーに紹介してもらいましょう!
①池のヨシ刈り(担当:わけー)
下田の杜には水鳥がやって来る池がありますが、ヨシが増えすぎると池の様子が見えなくなってしまいます。そこで、鳥たちが隠れられる場所は残しながら、必要なところだけヨシを刈っていく、というのがこの日の活動内容でした。
刈ったヨシは、池の隣にある田んぼの畦(あぜ)を直すのに使うとのことです。
池に入るには胴長(ウェーダー)が必要でしたが、私は胴長が初めてでしたので、転ぶときは後ろではなく前に倒れるように、など安全面で気をつけること、そしてヨシはまたすぐに生えてこないように水面より下で切ることを教えてもらって、作業に入りました。
10時からは大学生の人たちも合流。授業の一環としての参加で10人ほどがヨシ刈りに加わり、一気に作業がはかどりました。
この日は9時から12時まで活動しましたが、1時間ごとに水分補給をして、熱中症にならないように気をつけました。湧き水のおかげか池の水温は高くなく、作業しやすかったです。ただ、胴長を脱ぐと思ったより汗をかいていて驚きました。
せせらぎ池での保全活動は1時間前後のことが多いですが、長時間活動する際の休憩の入れ方や作業の流れなど、今後の参考にできればと思います。
また、池にはウシガエルのオタマジャクシもいましたが、池の底には巻貝がいたり、ヨシの葉にはチョウの幼虫やクモも見つかりました。数時間の活動でも、いろいろな生きものが暮らしていることがうかがえました。




②田んぼの畦整備(担当:しまだ)
下田の杜では湧水を使った水田が設けられており、たくさんの稲が植えられています。
しかしながら、畔回りにはいくつか問題が発生してしまっていました。一つめは外来種の侵入、二つ目は畔の経年劣化です。
こちらの水田には『ナガエツルノゲイトウ』とよばれる特定外来生物の植物が侵入してしまっています。ナガエツルノゲイトウは旺盛な繁殖力で繁茂し、在来の生態系や水路の管理にも大きな影響を与えています。
そのため、今回はまずナガエツルノゲイトウの除去作業を実施しました。下田の杜ではナガエツルノゲイトウ対策として遮光シートを設置しており、それらを張り替える作業についても同時に実施しました。
遮光シートの張り替えも含めた様々な作業がこれまで行われてきたことで、畔が徐々に崩れてしまう問題が発生していました。ナガエツルノゲイトウの防除作業後は、畔を補修する作業を実施しました。土嚢を作って運んだり、泥の深い環境でスコップを振るう作業は簡単ではありませんでしたが、無事に補修作業を終えることができました。
普段活動している河川敷とは大きくことなる里山環境での活動を通じて、保全に関するアプローチや得られる学びについて、体感することができました。


【最後に】
今回参加してみて、「市街地の中にある豊かな自然環境の尊さ」はもちろんですが、「自然を守る主体の大切さ」を改めて強く感じました。
下田の杜里山フォーラムの皆さんは、よそ者でしかない私たちに本当に良くしてくださって、ご自身の守る場所・活動の素晴らしさを活き活きと伝えられていました。
簡単にまとめてしまって恐縮ですが、皆さんの想いと、優しさと、どれが欠けてもこの地は守られてこなかったでしょう。
おそらく、こういう素敵な取組みは、都市部も含めて各地に本当に沢山あります。
このブログを読んでくださった皆さんも、近場のこうした取組みに、ほんの少し気を向けてみて、実際に足を運んでみてはいかがでしょうか?
きっと、自然を守るために尽力している皆さんの励みになるはずです。
私たち「せせらぎ池生物多様性保全活動」としても、今後も、他の取組みを発信して、お互いに活動が継続できるよう微力ながら協力できたらと思います。
(そのためにも、僕自身もう少し忙しさから解消されたいところです…笑)